Chapter 1 of 9
Chapter 1
作者の言葉
犯人は最初から読者の目の前にいながら最後までどれが犯人だか分らない。と云うのが所謂本格探偵小説の一つの条件みたいになっています。なるべくその条件に適わせることを心掛けました。敏感な読者は四五回も読まぬ内に犯人が分ってしまうかも知れません。又探偵小説に不慣れな読者には、最後までそれが分らないかも知れません。丁度その辺の所を狙ってある訳です。知識的遊戯として、謎々を解く気持でお読み下されば結構です。
「時事新報(夕刊)」昭和四年十一月十九日、二十四日