Chapter 1 of 10

女なればか

力など望まで弱く美しく生れしまゝの男にてあれ

甲斐なしや強げにものを言ふ眼より涙落つるも女なればか

血の色の爪に浮くまで押へたる我が三味線の意地強き音

前髪も帯の結びも低くしてゆふべの街をしのび来にけり

天地を鳴らせど風のおほいなる空洞なる声淋しからずや

朝寒の机のまへに開きたる新聞紙の香高き朝かな

我が髪の元結ひもやゝゆるむらむ温き湯に身をひたす時

Chapter 1 of 10