Chapter 9 of 29
てがるな緑化季
六月です
ちちははよ
窓したの疎林で、郭公鳥が啼いてゐる。
夜間中学の副読本なんかの詩で
よく邂逅ふ、―― CUCKOO といふ禽、
(あのこゑは いまや初夏のひかりを浴びる)
わたしは截る 淡茶いろの竹針
それに
一円半の CUCKOO WALTZ を唄はせよう。
あの
葉緑素のかつぱつな軽井澤では
へんに
ひとは白つぽく
時間はかたむいて 明るい…
(リルケが歌つたやうに)
てがるな緑化季ですね
ちちははよ
はて
わが胸の枝々で 郭公鳥が啼いてゐる。