Chapter 1 of 1

Chapter 1

ぼくが 帰るとまもなく

まだ八月に入ったばかりなのに

海はその表情を変えはじめた

白い歯をむき出して

大波小波を ぼくにぶっつける

ぼくは 帰るとすぐに

誰もなぐさめてくれないので

海になぐさめてもらいにやってきた

海はじつにやさしくぼくを抱いてくれた

海へは毎日来ようと思った

秋は 海へまっ先にやってくる

もう秋風なのだ

乾いた砂をふきあげる風だ

ぼくは眼をほそめて海を見ておった

表情を変えた海をばうらめしがっておった

●図書カード

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