Chapter 1 of 1
Chapter 1
あの山を越えるとき
おれたちは機関車のように 蒸気ばんでおった
だまりこんで がつんがつんと あるいておった
急に風がきて 白い雪のかたまりを なげてよこした
水筒の水は 口の中をガラスのように刺した
あの山を越えるとき
おれたちは焼ける樟樹であった
いま あの山は まっ黒で
その上に ぎりぎりと オリオン星がかがやいている
じっとこうして背嚢にもたれて
地べたの上でいきづいていたものだ
またもや風がきて雨をおれたちの顔にかけていった
●図書カード