Chapter 1 of 90

八月二日

晴れて暑い、虹ヶ浜。

午後三時の汽車で徳山へ、白船居で北朗君を待ち合せ、同道して虹ヶ浜へ。

北朗君は一家をあげて連れて来てゐる、にぎやかなことである、そしてうるさいことである(それが生活内容を形づくるのだが)。

いつしよに夕潮を浴びる、海はひろ/″\としてよいなあと思ふ、波に乗つて波のまに/\泳ぐのはうれしい、波のリズム、それが私のリズムとなつてゆれる。

松もよい、松風はむろんよろしい、さく/\踏みありく砂もよい、自然は何でもいつでもよろしいな。

遠慮がないので、また傾け過ぎた、宿のおばあさん――老マダムとでもいはうか――が酒好きで、のんべいの気持が解るのでうれしかつた、二階に一人のんびりと寝せてもらつた。

海、海、波、波、子供、子供、酒、酒、夢、夢!

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