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この書物で私は、現代日本の日本主義と自由主義とを、様々の視角から、併し終局に於て唯物論の観点から、検討しようと企てた。この論述に『日本イデオロギー論』という名をつけたのは、マルクスが、みずからを真理と主張し又は社会の困難を解決すると自称するドイツに於ける諸思想を批判するに際して、之を『ドイツ・イデオロギー』と呼んだのに傚ったのだが、それだけ云えば私がこの書物に就いて云いたいと思うことは一遍に判ると思う。無論私は自分の力の足りない点を充分に知っていると考えるので、敢えてマルクスの書名を僭する心算ではないのである。

(「現代日本の思想上の諸問題」と「自由主義哲学と唯物論」の二つは新しく書いたものである。他の論文は『唯物論研究』『歴史科学』『社会評論』『進歩』『読書』『知識』や、『改造』『経済往来』『行動』『文芸』に、一旦載せたものであるが併し之を整理して一貫した秩序を与えたのである。)

なお私がひそかに想定している思考上の伏線に就いて、注意を払う読者があるならば、左記の書物を参照して貰えば幸いである。特に第二以下のものが直接の役に立つだろうと思う。

一、科学方法論      (一九二九)  (岩波書店)

二、イデオロギーの論理学 (一九三〇)  (鉄塔書院)

三、イデオロギー概論   (一九三二)(理想社出版部)

四、技術の哲学      (一九三三)   (時潮社)

五、現代哲学講話     (一九三四)   (白揚社)

(『現代のための哲学』――大畑書店――の改訂版)

以上

一九三五・六・三〇東京戸坂潤

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