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文壇球突物語
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文壇球突物語
南部修太郎
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ナイトアイ
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翻訳 Pagera AI
原文 Public Domain
Chapter 8 of 8

心よき誘惑

とにかく球突といふものは少し味が分つてくると、實にデリケエトな興味のある勝負事だ。たとへば秋の温泉塲の靜かな夜更けなどに、好もしい相手と勝負に熱中しながら、相當腕が出來なければ冴※ない處のあの球の響きを聞く氣持はちよつと何ともいへない。下町などの球突塲によくあるいはゆる球突塲氣分なるものは、私には甚だ有難くないものだが、さういふ純粹な境地になると、ちよつと淫しても惡くない誘惑物だ。震災後の東京には實際驚くほど球突塲がふ※た。然し、球台、球、キユウ、チヨウク、お客の人柄、建物の感じ、周圍の状態、經營者の經營振――さうした條件がいい氣持に揃ふのは實に困難な事なので、さてしつくりと勝負を樂みたくなるやうなのはめつたにない。とにかく文壇でも若い作家達の間にだいぶはやり出したといふ。關西では令孃夫人の間に大流行だといふ。球突の趣味は今の處ひろまつて行くばかりらしい。(一五、二、一六)

●図書カード

Chapter 8 of 8
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