Chapter 1 of 1

Chapter 1

いたやと楢の林つきて

かの鉛にも続くといへる

広きみねみち見え初めたれば

われ師にさきだちて走りのぼり

峯にきたりて悦び叫べり

江釣子森は黒くして脚下にあり

北上の野をへだてて山はけむり

そが上に雲の峯かゞやき立てり

人人にまもられて師もやがて来りたまふに

みけしき蒼白にして

単衣のせなうるほひ給ひき

われなほよろこびやまず

石をもて東の谷になげうちしに

その石遙か下方にして

戞として樹をうち

また茂みを落つるの音せりき

師すでに立ちてあり

あへぎて云ひたまひけるは

老鶯をな驚かし給ひそとなり

講の主催者粛として立ち

われまた畏れて立ちつくせるに

人人〔一字難読〕かずつかれて多くはたゝずめりき

しかはあれかの雲の峯をば

しづかにのぞまんはよけんと

蕗の葉をとりて地に置けるに

講の主催者

その葉を師に参らせよといふ

すなはち更に三葉をとつて

重ねて地にしき置けるに

師受用して座しましき

●図書カード

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