Chapter 1 of 3

元素の週期律

物質の元素には、たくさんの異なった種類がありますが、今ではその原子量の最も小さい水素から、それの最も大きいウランに至るまでの間に、全体で九十二箇の元素のあることが知られています。ところが、それらの元素を大体において原子量の順に並べてゆきますと、おもしろいことには、ある間隔をおいて互いに性質の似ている元素が繰返してあらわれて来るのです。

もっともそのなかには、二、三の例外の元素があって、そこでは原子量の大いさの順をとりかえなくてはなりませんが、そのほかはすべて原子量の順にそうなってゆくので、つまりそれはある週期をもって同様の性質の元素が現れて来るということになりますから、この事を元素の週期律と名づけるのです。

そこで、このようにして同様の性質をもつ元素を原子量の小さい方を上にして縦に並べてゆきますと、横向きには大体において原子量の増してゆく順に並ぶことになります。かような元素の表を、普通に週期表と呼んでいますが、ともかくこの事実は非常におもしろい、またいかにも目立った事がらなのであります。

ところで、かような事実のあるということを始めて見つけ出したのは、ロシヤの物化学者ドミトリ・イヴァノヴィッチ・メンデレーエフという人でありまして、それは一八六九年のことでありますから、今からは七十余年以前に当るのです。しかも、このような週期律が見つけ出されたおかげで、その後に新しい元素を発見するのに大層都合がよくなったばかりでなく、ずっと近頃になっては、めいめいの元素の原子がどのような構造をもっているかということに対する理論を形づくってゆくのにも大いに役立ったことなどを考え合わせてゆきますと、これはまことに重要な発見であったと云わなければなりません。つまりこの意味で、物化学を学び、また元素についてのいろいろな知識を得ようとするすべての人々にとって、メンデレーエフの名は忘れることのできないものなので、そこでここにも彼の一生について少しくお話しして見たいと思うのです。

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