Chapter 1 of 45

余、幼にして妖怪を聞くことを好み、長じてその理を究めんと欲し、事実を収集すること、ここにすでに五年。その今日まで、地方の書信の机上に堆積せるもの幾百通なるを知らずといえども、そのうち昨今、都鄙の別なく、上下ともに喋々するものは狐狗狸の一怪事なり。中等以下のものは、そのなんたるを知らざるをもって、ただ一にこれを狐狸、鬼神の所為に帰し、中等以上のものは、そのしからざるを信ずるも、これを解するゆえんを知らざるをもって、またこれを妖怪、不思議の一種に属す。これをもって、愚民のこれを妄信する、日一日よりはなはだしく、これより生ずるところの弊害、また決して少々にあらざるなり。ゆえに余は、学術上、その道理を明らかにして世人の惑いを開くは、方今文明の進歩上必要なることと信じ、ここに狐狗狸の原因事情を論明して、『妖怪玄談』第一集となす。その目次、左のごとし。

第一段 総論

第二段 コックリの仕方

第三段 コックリの伝来

第四段 コックリの原因

明治二十年五月上旬著者誌

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