Chapter 7 of 56珊瑚礁 ホセ・マリヤ・デ・エレディヤ波の底にも照る日影、神寂びにたる曙の 照しの光、亜比西尼亜、珊瑚の森にほの紅く、 ぬれにぞぬれし深海の谷隈の奥に透入れば、 輝きにほふ虫のから、命にみつる珠の華。 沃度に、塩にさ丹づらふ海の宝のもろもろは 濡髪長き海藻や、珊瑚、海胆、苔までも、 臙脂紫あかあかと、華奢のきはみの絵模様に、 薄色ねびしみどり石、蝕む底ぞ被ひたる。 鱗の光のきらめきに白琺瑯を曇らせて、 枝より枝を横ざまに、何を尋ぬる一大魚、 光透入る水かげに慵げなりや、もとほりぬ。 忽ち紅火飄へる思の色の鰭ふるひ、 藍を湛へし静寂のかげ、ほのぐらき清海波、 水揺りうごく揺曳は黄金、真珠、青玉の色。