Chapter 1 of 5

〔日本と東西両洋の文明〕

従来、我が日本国には立派な哲学者が無かった。しかし外国から伝わった哲学書などは有ったが、一般国民はこの思想に触れずして、この日本という孤島の楽土に逸居し、世界の生存競争の衝に立たず、静かに太平を楽しんでおったからして、深遠なる人生観、世界観が出来なかったのである。

然るに東西両洋文明の接触は、我が日本をしてこの楽土に桃源の夢を続けしめずして、非常なる大変化を政治、道徳、宗教、文学、美術、教育の上に来たし、随って輓近の如く驚くべき国民的大活動を生じ、その結果として新日本の文明、即ち世界の大問題たる東西両文明の統一を得たのである。依って我輩は東西両洋文明の大勢を踪索して、延いて現下の世界の大勢に及ぼし、以て今後に於ける我が国民の覚悟を促そうと思う。

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