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相撲の稽古
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相撲の稽古
岡本一平
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번역 Pagera AI
원문 Public Domain
Chapter 2 of 4

二、横綱と並んで

大錦君の座敷には牛鍋の御馳走を筒袖の取的が二人取賄つて居る。『巡業のホリ(折といふ時の大錦の言葉癖)はこれ等が女房の役も三太夫の役も按摩の役も一手で引受けるんです』と大錦君が自慢気に言ふ。鬼の様な取的君が少しはにかむ。大錦君は下戸で四五杯も猪口を受けると全く紅くなる、それで居て飯もタント食はぬ。牛肉も半斤とは食はずして茶漬を普通茶碗に四杯軽く流し込んだ。残つた大部分の牛肉は廊下を隔てた取的の部屋を選ばれた。取的の部屋が俄に賑になる。それを眺めて大錦君が嬉し相に『あの時代には全く収入といふものが無いのですから師匠が気を付けて力になる食物をわざと、あゝやつて残してやるのです。』云々今の横綱も残肴の恵によつて育まれた。牛鍋の残りに歓声を挙げ居るこの未来の横綱達にも幸多かれと祝福してその夜は寝た。翌朝は大錦君と並んで二人曳の俥で場所入りする。巡業の掟として力士は力量、位置の如何に拘らず二十八貫以上で無ければ二人曳きを付けぬ規則だ、さすれば十五貫の自分は十三貫だけサバを読んでる訳だ。それでも何でも馬鹿にいゝ気持ちだ。場所は市内の不動堂境内にある。櫓には型の如く撥音爽かに、天下泰平、国土安穏の祈りを赤城山の峯の雪に轟かして居る。

Chapter 2 of 4
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