Chapter 3 of 10
袷の襟
垢すこし付きて痿へたる絹物の袷の襟こそなまめかしけれ
君なにか思ひ出でけむ杯を手にしたるまゝふと眼を伏せぬ
むづがゆく薄らつめたくやゝ痛きあてこすりをば聞く快さ
ちら/\と君が面に酔ひの色見えそむる頃かはほりのとぶ
唇を打ちふるはして黙したるかはゆき人をかき抱かまし
昂ぶりし心抑へて黒襦子の薄き袖口揃へても見つ
いつしかに歔欷てありぬ唄ひつゝ柳並木を別れ来にしが
垢すこし付きて痿へたる絹物の袷の襟こそなまめかしけれ
君なにか思ひ出でけむ杯を手にしたるまゝふと眼を伏せぬ
むづがゆく薄らつめたくやゝ痛きあてこすりをば聞く快さ
ちら/\と君が面に酔ひの色見えそむる頃かはほりのとぶ
唇を打ちふるはして黙したるかはゆき人をかき抱かまし
昂ぶりし心抑へて黒襦子の薄き袖口揃へても見つ
いつしかに歔欷てありぬ唄ひつゝ柳並木を別れ来にしが