Chapter 1 of 1

Chapter 1

吾老いぬれど

仙家に入らず

茶烟軽く

紅塵の裡に住む

柴門を守るは

吾家の月

竹窓に吹くは

隣家の風

人来れば

迎へて会ふ

人去れば

吾座にもどる

眠り足りて

夢なく

起きて

倦むことなし

昼には

昼に書くことあり

夜には

夜に語ることあり

世にあづけたる

わが寿は

時来らば

世に返さむ

草の生命は

わが生命より短く

樹の年輪は

わが年輪より多し

わが生命の一瞬

心眼明らかに

天人の五衰は

問はず

●図書カード

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