Chapter 1 of 3

その一

うら若かき頃の、悲しきあこがれ………

草葉の息ふきかへす甘き香り、

艶はしき花の笑ひもながめて過ぎぬ、

木の間にさへずる、鳥の歌をきゝ、

悲しみは眼を閉ぢて、暫時やすらひもせし、

されど、とく新らしき悲しみに転りぬ、

何をもて、この闇を照さむ、

空を仰げば恐ろし………

いざさらば、独り琉球節の一曲を、

口笛にふるわせ、

うらやすき墓場のほとりにさ迷はむ、

そは音なき響きを(聞)かんとや………

Chapter 1 of 3