Chapter 1 of 1

Chapter 1

わが思ふ女ありやなしや。

まよわしきかな。

夕暮の窓にもたれて、蒼白き息ふく

われも、またありやなしや。

あな、うたがわし。

蚊のなく声を、君がかなしき唄とや

きかむ。

柔風の木の葉にすがる、たわふれを、

君が鬢のほつれとやきかむ。

淋しき夕べの鐘もきこゆ。

森のかなた、君住む墓の頭りにや

あらむ。

今なり、われは独りさ迷ひゆかむ!

夕べの鐘をしたひて

その音に耳を静めて。

●図書カード

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