Chapter 1 of 1

Chapter 1

松の葉の青きに

しとしとと雨はふる。

凄まじき暴風雨の後に

針のごと雨はふる。

色黄なる毛虫は

土に沁みつき、

月見草は

萎れて白し。

桐、樅、無花果、

人工の盆栽の梅、

犯されし小娘か、みな、

泣き伏して声もなし。

しとしとと雨はふる。

浜の砂庭に吹き散り、

陸橋の下には

傷つきし犬瞳を凝らす。

あまりにも静かなり、ただ、

腹切りし苦しさに

肩衣をはねのけし瀬尾、

その青き松の震慄。

かくて、わが終日、

針のごと雨はふる。

海見ゆる涼台の破風に

光り、かつ、をぐらく。

雨はふる、しとしとと、

雨はやむ、またしばし、

夕されば血の如き虹

遂にまた海と空とに。

●図書カード

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