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青年に訴う
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青年に訴う
クロポトキンピョートル・アレクセーヴィチ
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원문 Public Domain
Chapter 8 of 12

七

青年技術家諸君、彫刻家諸君、画家諸君、詩人諸君、音楽家諸君。諸君は諸君の先人の霊感した聖火が、今日諸君の芸術にはまったく欠乏していて、芸術がただ平凡庸劣に流れていることを認めないか。

それもそのはずではないか。再び古代の世界を発見して、さらに自然の泉に浴するような、歓喜によってつくられた文芸復興時代の諸傑作は、今の時代の芸術にはまったく存在しない。革命的思想は、今日まではなはだ冷淡に看過された。そして理想のない今日の芸術は、写実の中にこれを見出し得たと信じて、あるいは木の葉の上の白露の玉を色写真にとったり、あるいは牡牛の脚の筋肉を模写したり、あるいは息の根もとまるような臭い溝の汚穢物や、醜劣な貴婦人の居間などを、韻文にことこまかに描いたりして、芸術の能事おわれりとしている。

はたしてしからば、いったいどうすればいいのかと諸君は言うであろう。

諸君の自ら持っているという聖火は、単にくすぶっている燈芯のようなもので、諸君がこの聖火をもってなお従前のごとく続けて行くならば、諸君の芸術はやがて、夜店商人の装飾か、赤新聞の小説書きか、安芝居の脚本書きのような職業に堕落してしまうであろう。いや、諸君の大部分は、非常な速力で、すでにこの峻坂を下りつつあるのだ。

けれども、諸君の心臓の鼓動が真に人類のそれと同音にうつならば、また、真の詩人のように諸君が生命をきく耳を持つならば、諸君の周囲に波うつ苦痛の激浪や、まのあたり饑餓に死に行く人々や、砿抗にうずたかく積み重なっている死屍や、防砦の下によこたわる不具の屍体や、シベリアの雪の中や熱帯の孤島の浜辺に葬られようとする追放者の一団や、また勇敢と卑怯と、高尚な決意と下劣な狡獪との争闘に、敗者は苦痛に叫び、勝者はのん気に笑う、この絶望の奮闘を見て、諸君はとうてい手をこまねいて傍観するに忍びないで、諸君は自ずから、被圧制者の列中に来るだろう。何となれば、優美や壮観や生命は、光明と人道と正義のために闘うものの味方となることを、諸君はよく知っている。

諸君はついに私の言葉をさえぎって言う。

抽象科学は奢侈品であり、医者の実務は虚偽であり、法律は不徳不義であり、機械の発明は掠奪器をつくることであり、学校は実際家の知識とは相容れないで圧服せられるのみであるというなら、他になすべきこととして残るものは何だろう。

雄大な、心から喜んでできる仕事――すなわち諸君のもっとも高尚でもっとも生気のある性質を奮起させるような、いいかえれば、諸君の行動と良心とが完全に一致する仕事――それはどんな仕事なのか。私はそれをつぎに話そう。

諸君のとるべき道は二つある。諸君は良心をまげても自分の安居逸楽ができる間は、そして人々がそれをさせておく間は、人道などは俺の知ったことじゃないと言ってしまうか、しからざれば社会主義者の中に投じて全社会の改革に従事するかの、二つのとるべき道がある。これは必ず到達すべき論理的結論である。ブルジョワ的教育と同僚の利己的観念から出る詭弁とにまどわされずに、周囲の状態を公平に判断し得る人々には必ず来る結論である。

一度、この結論に達した時に、この問題の解決は容易である。諸君は諸君の地位を捨てて、常に諸君が禽獣視する平民の中に行ってみよ。しからばこの疑問は自ずから解決される。

英、独、伊、米、仏などあらゆる国々において、権力階級と平民階級とのある所には、必ず奴隷制度を破壊して、正義と平等の原理にもとづく新社会を建設しようとする激烈な運動が行われている。今ではもう何人も、十八世紀における農奴や、または今なおスラブ人種のあいだに歌われている、かの悲しい歌によってその悲惨な境遇を叫ぶことに満足しないで、さまざまな障害を打破って奮闘している。常に呪われつつある人種の大多数を、いかにして幸福ならしめんかとの考えにみたされている。その常識とその観察と、その悲惨な経験とによってこれが解決につとめ、かくて彼等のあいだに共通な思想を生じて、団結運動をするように尽力している。零細な金を集めてその困難を切り抜け、外国の平民階級と握手して国際間の戦争を未然に防ぐように努めている。その効果は、口先ばかりの人道家などの及ぶところではない。相識り相扶けてその思想を練り、それを宣伝するためには万事を投げうってそれに当り、投獄、追放、虐殺、相次いで来るも屈せず撓まず、さらにまた難戦苦闘をはじめて行く。

新聞は、睡眠の不足と衣食の欠乏とによって脳髄の疲労した人々によって経営せられている。運動はわずかに生命をつなぐ労働者の零細な金によって維持されている。そして彼等は、雇主に社会主義者であることを知られれば、たちまち放逐せられて妻子を路頭に迷わさねばならぬ地位にあるのだ。こうしたことは諸君が人民の中に行けば必ず目撃し得ることである。

この不断の戦いにおいて、困難な重圧の下に倒れながら、幾度びか労働者は叫んだ。「われわれが出費して教育してやったあの青年は今どこにいるであろう。彼等が勉強していた間、われわれは彼等の衣食の世話をし、重い荷物の下に背をまげ腹をくぼめて学校や図書館をつくってやった。彼等のために顔を蒼くしてわれわれには読めもしないあの立派な書籍を印刷してやった。人道の学問をしたと称して人道を見ることあたかも毛虫のごときかの先生は、今どこにいるであろう。彼等は自由を口にしながら、日々ふみにじられているわれわれの自由を少しも庇ってくれたことがない。文学者、詩人、画工――一口に言えば、かの偽善者の一隊は、眼に涙をうかべて平民の窮状を語るけれども、われわれの運動をたすけるためにいまだかつてわれわれの中に来たことがない。」

これを聞いた青年のあるものは、卑怯にも冷淡に無関係のふうを装い、多数のものは「賤民」とさげすんで、もしその特権にでも触れようものなら、ただちにつかみかかろうとする勢いを示すのだ。

この時にあたって、太鼓と防塞とを夢みて、絶えず人気とりに、舞台に現れてくる青年がある。しかし彼等は、防塞までの路は遠く、そしてその得ようとする月桂樹には荊棘がまじっているのを知ると、すぐに平民の味方から逃げてしまう。彼等はただ野心ぶかい利口な奴等にすぎない。その企てが一度挫折すると、今度は平民の投票を得ようと努める。けれどももし平民が、彼等の教えた主義を実際に行おうとすれば、彼等は真先にそれを否認する。また平民が、指揮官たる彼等の命令の出ない前に動こうものなら、それに砲弾をも向けかねない。さらにこれに加うるに、馬鹿げた悪罵と、傲慢な軽蔑と、卑劣なる讒誣とをもってする。これがすなわちわれわれ平民の社会進化に対して、かのブルジョワの青年が、助力を与えたと称するところの全部である。

しかるになお、諸君は尋ねる。どうすればいいのか。もうすべての準備はできた。青年軍は非常なる希望をもってその若き精神力と知識と才能の全力をあげて、平民のために尽くそうとしている。

Chapter 8 of 12
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