Chapter 1 of 1

Chapter 1

遠い野中の家より

私を慕うて呉れる友は

今夜も十時がなって帰った

夜露を分けて来て呉れても

あたたかいもてなしさえ

貧しい私達にはゆるされず

ひとえの着物のはじを

幾度か合せ乍ら

語りても聞いてもほほえみ乍ら

何程のへだてた思いもなく

ありのままの事を語らいて

お互に解け合うよろこび

本箱からは

勝手なものをとり出して

入れ様ともせず

一ぱいに机の上につまされる

傍にも又誰ひとり

じゃまになる人もなければ

ただ二人自由に

束縛の棚をのがれて

友も私もにごりのない

友情にひたっている

……平岡君と語りし夜に……

●図書カード

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