Chapter 1 of 9
――絶海孤島の教育
渡名喜島は沖縄島を離る、三十浬、周廻二里八町の弾丸黒子のみ。島人往々食糧に欠乏し蘇鉄の澱粉を製す。其製作法たる蘇鉄の幹の皮を剥ぎ輪切りにし乾燥し水に浸し、捏ね、晒し、辛苦容易に非ず。小学校の教師湯を注ぎ予に供して曰く「本島と一個月一回の汽船航通あれども風濤に依り時に汽船の寄泊せざることあり。今回も二個月間汽船到来せざりしが故に全島茶に欠けり。湯を供する失礼を恕せよ」と此の如きの島にして学齢児童毎百に付男女平均九一・一六あり。即ち東京大阪両府よりも上位にあり。福島県青森県の八五・〇〇、山梨県の八一・〇〇と比較して何の感かある。