Chapter 1 of 1

Chapter 1

五里の青野に行き暮れて、

山下街の片門に、

いかで一夜の宿乞ふと

都のなまり、――うらわかき

学生づれの七人は

手にこそしたれ、百合の花。

家の下部が、老い屈み、

嗄れごゑに、竹箒

とる手とどめて物いへば、

二室へだてし簾障子の

奥に乳母よぶ――こは人の

百合の花なる白き影。

親なき君をいつく家の

あなあやにくと、しとやかに

乳母はいなみぬ。よし、さらば、

そのあえかなる君祝ひ

捧ぐと與へ行き過ぎぬ、

七人の手の百合の花。

●図書カード

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