Chapter 1 of 1

Chapter 1

かなしみではなかつた日のながれる雲の下に

僕はあなたの口にする言葉をおぼえた、

それはひとつの花の名であつた

それは黄いろの淡いあはい花だつた、

僕はなんにも知つてはゐなかつた

なにかを知りたく うつとりしてゐた、

そしてときどき思ふのだが 一体なにを

だれを待つてゐるのだらうかと。

昨日の風は鳴つてゐた、林を透いた青空に

かうばしい さびしい光のまんなかに

あの叢に咲いてゐた、そうしてけふもその花は

思ひなしだか 悔ゐのやうに――。

しかし僕は老いすぎた 若い身空で

あなたを悔ゐなく去らせたほどに!

●図書カード

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