Chapter 1 of 1

Chapter 1

母なるをとめ、わが子のむすめ、

賤しくして、また、なによりも尊く、

永遠の謀のさだかなるめあて、

君こそは人性を尊からしむれ、

物みなの造りぬしも、

其造りなるを卑まざりき。

その胎に照りたる愛は、

この花をとこ世に靜けく、

温め生ふし開き給ひぬ。

ここにゐては愛の央の松あかし。

下界人間に雜はりては、望の生ける泉なり。

大なる哉、徳ある哉、われらの君よ、

恩寵をえまくほりする者、

君の御前にまだ來ぬは、

その願ひ翼なくして飛ぶを思ふや。

御慈悲は、願ひ人を助くるのみならず、

おのづから願に先だつこと多かり。

君に憐、君に悲、君に惠、

造化のよしといふよき物は君に集ひぬ。

茲に今、宇宙の池のいと深き底より、

この天堂にしも、また昇り、

靈のひとつびとつを眺むるもの、

伏して願はくは、終の福にむかひ、

眼うち仰ぎ得むことを祈る。

今彼の眺を望むばかり、

己が眺を望む時にも切ならざりし吾。

茲に一切の祈を捧げて、

足らざること勿れと念ず。

君よ、人間の迷雲を此人より拂ひて、

至上の悦をえさせたまへ。

重ねて祈り申さく

思のまゝのなべてを行ふ后の宮よ、

かゝる大觀の後までも、

かれが心をそこなはず、

君の護のあるが故に、

人間の混亂を滅ぼし給へ。

わが祈に添ひてベアトリチエと諸聖と、

合掌祈念するをも、うけさせ給へや。

●図書カード

Chapter 1 of 1