Chapter 1 of 1

Chapter 1

立ち去つた私のマリアの記念にと

友と二人アプサントを飲んだ帰るさ

星空の下をよろめいて、

互の肩につかまりあつた。

――もうあの女に会へないと決まつたときは

泣いたせゐで、俺は結膜炎に罹つたつけ。

――さうさう、すると、眼を泣き潰したといふ昔話も

まんざら嘘ぢやないかもしれない。

さるいかめしい黒塀の角を曲がつたとき

球をつくキユーの花やいだ響きに

見上げる眼にふと入つた

薔薇色の天井に張りわたした蜘蛛手の万国旗……

●図書カード

Chapter 1 of 1