Chapter 1 of 1

Chapter 1

母親は煎薬を煎じに行つた

枯れた葦の葉が短かいので。

ひかりが掛布の皺を打つたとき

寝台はあまりに金の唸きであつた

寝台は

いきれたつ犬の巣箱の罪をのり超え

大空の堅い眼の下に

幅びろの青葉をあつめ

棄てられた藁の熱を吸ひ

たちのぼる巷の中に

青ぐろい額の上に

むらがる蠅のうなりの中に

寝台はのど渇き

求めたのに求めたのに

枯れた葦の葉が短かいので

母親は煎薬を煎じに行つた。

●図書カード

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