Chapter 1 of 1

Chapter 1

月青く人影なきこの深夜

家々の閨をかいま見つゝ

白き巷を疾くよぎる侏儒の影あり

愚かなる状して黒々と立てる屋根の下に

臥所ありて人はいぎたなく眠れり

家々はかく遠く連なりたれど

眠の罪たるを知るもの絶えてあらず

月も今宵その青き光を恥ぢず

快楽を欲する人間の流す

いつはりの涙に媚ぶと見えたり

かゝる安逸の領ずる夜なれば

あらんかぎりの男女の肌を見んとて

魔性の侏儒は心たのしみ

おもはゆげもなく軒より軒へ

白き巷をよぎりゆくなり

●図書カード

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