Chapter 1 of 1

Chapter 1

三月の午後雪解けの土堤っ原で子供らが蕗のとうを摘んでいるやせこけたくびすじ血の気のない頬の色

ざるの中を覗き込んで

淋しそうに微笑んだ少女の横顔のいたいたしさ

おお、飢えと寒さの中に今も凶作地の子供達は熱心に蕗のとうを摘んでいる

子供等よ!お前らの兄んちゃんは何をして警官に縛られたのか何の為に満洲へ送られて行ったのか姉さん達はどうして都会から帰って来たのかお前らは知ってるね何十年の間、お前らの父ちゃんから税金を捲きあげていた地主はお前らの生活を保証してくれたか?おまんまのかわりに苦がい蕗のとうを喰うお前らの小さな胸にも今は強い敵意が燃えている天災だと云って

しらを切ったのはど奴だ!「困るのは小作だけでない」そう云った代議士(地主)の言葉にウソがなかったか子供等よ! いつ地主の子供がお前等と一緒に蕗のとうを摘みに行ったかいつ、地主のお膳にぬか団子が転っていたか修身講話が次から次へとウソになって現れて来たいまおお お前らのあたまも「学校」から離れる

北風の吹く夕暮れ母親は馬カゴのもち草を河っぷちで洗ってる子供らはざるを抱えて家路へ急ぐ背中の児は空腹を訴えて泣き背負った子供は寒さに震えるだが、見るがよい水涕をたらした男の児等の面がまえを!児を背負った少女の瞳を!おお、凶作地の子供等よ!その顔に現れた反抗と憎悪をもって兄んちゃんのような強つい人間に成れ!苦がい蕗のとうのざるをほうり出して父ちゃんから税金を捲きあげた奴等に向ってあったかい米のご飯を要求するんだ!(『プロレタリア文学』一九三二年二月号に発表)

●図書カード

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