Chapter 9 of 9
フィナーレ
「私の枕の物語はこれでお仕舞いです。此奇瑞の枕が今に伝わって居ると、いろいろな話題と研究材料を提供したことでしょうが、残念ながら此時限り行方不明になりました。多分秋月九十郎が最後の夢を楽しんで、翌日は大川の水に投げ込まれたことでしょう。秋月九十郎と妻木右太之進が、それから何うなったのか、二百年前のことで、今では知る由もありません。なお念のために申して置きますが、此物語は奇談としての興味のために申上げたので、何んの教訓も偶意も――そんな安価なものは持って居りません」
話し手の桜井作楽は、丁寧に一礼すると、静かに壇を下りました。
●図書カード