Chapter 1 of 1

Chapter 1

白雲のゆききもしげき山の端に

旅びとの群はせはしなく

その脚もとの流水も

しんしんめんめんと流れたり

ひそかに草に手をあてて

すぎ去るものをうれひいづ

わがつむ花は時無草の白きなれども

花びらに光なく

見よや空には銀いろのつめたさひろごれり

あはれはるかなる湖うみのこころもて

燕雀のうたごゑも消えゆくころほひ

わが身を草木の影によこたへしに

さやかなる野分吹き來りて

やさしくも、かの高きよりくすぐれり

(大正二年九月)

●図書カード

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