Chapter 1 of 1

Chapter 1

いもうとよ、

そのいぢらしき顏をあげ。

みよ兄は手に水桃をささげもち、

いつさんにきみがかたへにしたひよる、

この東京の日くれどき、

兄の戀魚は青らみてゆきて、

日毎にいたみしたたり、

いまいきもたえだえ、

あい子よ、

ふたり哀しき日のしたに、

ひとしれず草木の種を研ぐとても、

さびしきはげに我等の素脚ならずや。

ああいとけなきおんみよ。

―一九一四、五、三―

●図書カード

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