Chapter 10 of 10
〈九 結論〉
今翻ってわが国のことを回顧しよう。わが国は芸術において、常に学ぶところよりも優れたものを作り出し、科学においても数学においても常に同様であった。われらはすでに芸術と科学との間に存すべき内在的の関係あるべきことを学び、芸術なき国に科学は栄えぬことをも了解したのである。はたしてしからば、美術国と称せられ、芸術味のはなはだ豊かなわが国において、数学にせよ、諸科学にせよ、汪洋として旭日の天に冲するがごとく、進み進み、また進まんとする勢いあること、決してわれらが架空の妄談でないことは、賢明なる読者のすでに充分了解されたところであろうことを信ずる。
わが国の数学の前途はこの点からいっても、多幸なりということができよう。
われらは、しかく見ることにおいて誤っていないことを確信する。
●図書カード