Vol. 2May 2026

도서

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倩娘

陳玄祐

王宙は伯父の室を出て庭におり、自個の住居へ帰るつもりで植込の竹群の陰を歩いていた。夕月がさして竹の葉が微な風に動いていた。この数日の苦しみのために、非常に感情的になっている青年は、歩いているうちにも心が重くなって、足がぴったりと止ってしまった。……もうこの土地にいるのも今晩限りだ、倩さんとも、もう永久に会われない、これまでは、毎日のように顔を合さないまでも、

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倫敦の一夜

岡本綺堂

倫敦の一夜 岡本綺堂 六月二十八日の午後六時、ハイド・パークの椅子によりながら講和条約調印の号砲を聞いた。号砲は池のほとりで一発又一発とつづけて打ち出されるので、黄い烟が青い木立のあいだを迸り出て、陰った空の下に低く消えてゆくのが眼の前にみえる。一隊ごとに思い思いのユニフォームを着けた少年軍が、太鼓をたたき、喇叭を吹きながら、足並をそろえて公園へ続々と繰込ん

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倫敦塔

Natsume Sōseki

倫敦塔 夏目漱石 二年の留学中ただ一度倫敦塔を見物した事がある。その後再び行こうと思った日もあるがやめにした。人から誘われた事もあるが断った。一度で得た記憶を二返目に打壊わすのは惜しい、三たび目に拭い去るのはもっとも残念だ。「塔」の見物は一度に限ると思う。 行ったのは着後間もないうちの事である。その頃は方角もよく分らんし、地理などは固より知らん。まるで御殿場

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倫敦消息

夏目漱石

倫敦消息 夏目漱石 一 (前略)それだから今日すなわち四月九日の晩をまる潰しにして何か御報知をしようと思う。報知したいと思う事はたくさんあるよ。こちらへ来てからどう云うものかいやに人間が真面目になってね。いろいろな事を見たり聞たりするにつけて日本の将来と云う問題がしきりに頭の中に起る。柄にないといってひやかしたまうな。僕のようなものがかかる問題を考えるのは全

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倭女王卑弥呼考

白鳥庫吉

倭人の名は『山海經』・『漢書』・『論衡』等の古書に散見すれども、其記事何れも簡單にして、之に因りては未だ上代に於ける倭國の状態を窺ふに足らず。然るに獨り『魏志』の倭人傳に至りては、倭國の事を敍すること頗る詳密にして、而も傳中の主人公たる卑彌呼女王の人物は、赫灼として紙上に輝き、讀者をして恰も暗黒の裡に光明を認むるが如き感あらしむ。『魏志』は晉の陳壽の編纂に成

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おにおん倶楽部

林芙美子

おにおん倶樂部 林芙美子 大木繁、滑川浩太郎、片貝巖、奧平善一、これだけが、おにおん倶樂部のメンバアである。 おにおん倶樂部の名付親は、巖ちゃんの兄さんの庄作さんで、英語でおにおんとは、玉葱の意味だそうである。この四人はとても仲良しだけれども、四人とも氣が弱くて、何にでも感激する。そしてすぐ泣くと云うので、庄作さんが、おにおん倶樂部とあだなをつけたのだそうだ

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偉大なる近代劇場人

岸田国士

小山内薫氏の業蹟について、最も理解あり、同時に、最も詳細な批評を下し得る人は、他に多くあるだらうと思ひます。それは、凡そ今日、演劇殊に新劇方面で仕事をしつゝある人々の大部は、何等かの意味で、同氏と親しい交渉をもつて居るからです。 私は、不幸にして、同じ劇壇に身を置いてからも同氏とは最も遠い立場に居た関係上、その赫々たる名声を通じて、氏一流の眼まぐるしい活動の

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偏奇館吟草

永井荷風

嗤ふなかれ怪しむなかれ。 この集をひらきみる人。 この集に載せたる詩篇。 思出の言葉なきものあらざることを。 物一たび、去ればかへることなし。 かへらぬものはなつかしからずや。 あかるき今日の昼とても 暮れなばたちまちむかしなり。 休まざる時計のひゞきは 忘るゝな。思出でよと。 絶間なくわれにぞ告る。 思出は命の絲につながれし 珠のくさりに似たらずや。 命の

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偏奇館漫録

永井荷風

○ 庚申の年孟夏居を麻布に移す。ペンキ塗の二階家なり。因って偏奇館と名づく。内に障子襖なく代うるに扉を以てし窓に雨戸を用いず硝子を張り床に畳を敷かず榻を置く。朝に簾を捲くに及ばず夜に戸を閉すの煩なし。冬来るも経師屋を呼ばず大掃除となるも亦畳屋に用なからん。偏奇館甚独居に便なり。 門を出で細径を行く事数十歩始めて街路に達す。細径は一度下って復登る事渓谷に似たれ

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偏狂

萩原朔太郎

あさましき性のおとろへ、 あなうらに薫風ながれ、 額に緑金の蛇住めり、 ああ我のみのものまにや、 夏ふかみ山路をこゆる。 かなしきものまにや、 のぞみうしなひ、 いつさいより靈智うしなひ。 さびしや空はひねもす白金、 はやわが手かたく合掌し、 瞳はめしひ、 腦ずゐは山路をくだる。 ああ金性の肉のおとろへ、 みやま瀧ながれ、 青らみいよいよおとろふ、 いのれば

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停車場にて

小泉八雲

明治二六年六月七日 きのうの福岡発信の電報によると、当地で逮捕された兇徒が、裁判のために、きょう正午着の汽車で熊本へ護送されるということだった。熊本の警察官が、この兇徒を引取るために福岡に出張していたのである。 四年前、熊本市相撲町のある家に、夜半、盗人が押し入り、家人らを脅して、縛り上げ、高価な財産を盗んだ。警察がうまく追跡して、盗人は二四時間以内に逮捕さ

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ヒトラーの健全性

国枝史郎

ヒトラーが、未来派の絵画を罵倒した記事を見て、ヒトラーらしいなと思った。 そうしてヒトラーが画家として立ったなら、むしろ穏健な、さりとて古くない、ポストアンプレッショニストとして彩管を揮ったことだろうと思った。 未来派は、表現派や立体派や構成派などと共に、第一次世界戦争中に起こった、極わめて革命的の流派で、其処には絵画としての伝統は、ほとんど片鱗さえ見ること

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“健全性”の難しさ

宮本百合子

“健全性”の難しさ 宮本百合子 この間田舎へかえる親戚のもののお伴をして珍しく歌舞伎座を観た。十一月のことで、序幕に敵国降伏、大詰に笠沙高千穂を据えた番組であった。 この芝居をみていて深く感じたことは演劇のとりしまりや自粛がどんなに芸術の生命を活かすものでなければならないか、ということであった。 云わでものことのようなことを沁々と思わずにいられないものがあっ

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健康な美術のために

宮本百合子

健康な美術のために 宮本百合子 松山文雄さんがこの頃益々一心に画業をはげんで居られることは友人たちの間で知らぬものはないと思います。 清潔な生活感情をもちつづけて、芸術家が今日成長を重ねてゆくのはまことに一事業です。清潔であって生々とした美感に溢れた作を生むということこそ、松山文雄さん、前島ともさんお二人の芸術家としての念願でありましょう。そして私達友人のひ

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健康を釣る

正木不如丘

海釣りや磯釣り、さては湖沼の舟釣りを除くと、釣にはあるく事がつきものになつて居る。鮒も鮠も、足で釣れと云はれて居るほどである。実際未明の薄明や、有明の月光の下に釣場に到着して、竿を継いでリユツクを背に、魚籠を腰に、釣場をもとめて、釣りあるくたのしさは、単なるピクニツクなどゝは比較にならない。 夕暮れて帰路を急ぐ時の快い疲労は、魚籠の重い軽いに関係なく、満ち足

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偶人信仰の民俗化並びに伝説化せる道

折口信夫

万葉巻十六の「乞食者詠」とある二首の長歌は、ほかひゞとの祝言が、早く演劇化した証拠の、貴重な例と見られる。二首ながら、二つの生き物の、からだの癖を述べたり、愁訴する様を歌うたりして居るが、其内容から見ても、又表題の四字から察しても、此歌には当然、身ぶりが伴うて居たと考へてよい。「詠」はうたと訓み慣れて来たが、正確な用字例は、舞人の自ら諷誦する詞章である。 此

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偶人物語

田中貢太郎

古道具屋の大井金五郎は、古道具の入った大きな風呂敷包を背にして金町の家へ帰って来た。金五郎は三河島蓮田の古道具屋小林文平の立場へ往って、古い偶形を買って来た処であった。 門口の狭い店にはもう電灯が点いて、女房は穴倉の奥のような座敷で夕飯の準備をしていた。 「帰ったのですか、寒かったでしょう」 「平生だったら、寒いだろうが、今日は寒くねえのだ」 女房は金五郎の

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偶像に就ての雑感

豊島与志雄

偶像に就ての雑感 豊島与志雄 吾々は多くの偶像を持っている。――(茲で私は偶像という言葉を、或はリテラリーに或はフィギュラチーヴに或は両方を総括した広い意味に用いる。) 偶像は吾人の感情の、心の働きの、或は心象の、象徴化されたものである。それはぴたりと吾人の魂に触れる。そしてその生命は吾人の手中に在る。吾人はそれを殺すことも生かすことも出来る。必要になったら

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偶感

宮本百合子

偶感 宮本百合子 非常に愛らしい妹を得ると同時に、危ぶんで居た母の健康も廻復期に向って来たので、私は今又とない歓びに身を横えて居る。 それに、来年の四月頃に、何か一つまとめた物を出して、知人の間にだけでも分けたいと思って居るので、その出来上って居る腹案を筆に乗せるのに毎日苦しんで居る。 八月中には、大体の結構は出来上って居なければならない。 九月中には、胚胎

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偶感一束

岸田国士

賑やかな春の芝居も一向に心を惹かない。旅をしよう。旅をしよう。 旅と云へば、旅にゐて、都を想ふ、これも旅の楽しさ、なつかしさである。 まして、こゝ、灯は暗し、某々劇場の花ランプさへ、幻に、奇しくも美しい。 今年は……と、癖になつてゐるのか、人さまに済まないと思ふのか、僕は、ふと、考へる。今年は……と。 せつせと芝居を見よう。第一に、築地小劇場と新劇協会とを欠

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偶感一語

宮本百合子

偶感一語 宮本百合子 最近、昆虫学の泰斗として名声のあった某理学博士が、突然に逝去された報道は、自分に、暫くは呆然とする程の驚きと共に、深い深い二三の反省ともいうべきものを与えました。故博士に就て、自分は何も個人的に知ってはおりません。 ただ、余程以前、何かの講演会の席上で、つい目の前に、博士の精力的な、快活な丸い風貌に接した以外は、文学を通してだけの知己で

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偶然の産んだ駄洒落

九鬼周造

偶然の産んだ駄洒落 九鬼周造 駄洒落を聞いてしらぬ顔をしたり眉をひそめたりする人間の内面生活は案外に空虚なものである。軽い笑は真面目な陰鬱な日常生活に朗かな影を投げる。ある日、私がパリで散髪をしていると理髪師が私に向ってデ・ジャポネー(日本人)は騎兵は要らぬそうですねといった。何のことかと聞くとデジャ(既に)ポネー(小馬)だからといった。人を馬鹿にしているこ

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偶言

津田左右吉

日本人の趣味は淡泊である、清楚である、または軽快である、濃艶な、重くるしい、はでやかな、または宏大なものは好まない、だから、――というような話が今でもまだ或る程度まで真実らしく、いわれもし聞かれもしている。日本人の趣味が淡泊とか軽快とかいう言葉でいいあらわし得るものであることが、よし過去において、間違のない事実であったにせよ、「だから」という接続詞をそのあと

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