万有引力の発見
さて地球と月との間に引力が働いているならば、その外の星や太陽の間にもやはり同じような引力が働くにちがいないと云うのが、ニュートンの次に考えた処でした。太陽のまわりの星の運動については、その頃ケプラーの法則というのが知られていました。これは星の軌道が太陽を焦点とした楕円だということを示したものでありますが、ニュートンは太陽と星との間にも同じような引力があると考えて、この軌道を説明することができはしまいかと、いろいろ苦心しました。この問題を解くのには、非常に長い年月を要したので、それは数学の上で微積分学と云われているものを考え出して、それを使わなければならなかったからです。この研究をすっかりまとめて書いた有名なプリンシピアという書物が出版されたのは一六八六年ですから、前の林檎の話からは二十年も後に当ります。ともかくもこれであらゆる物体の間に万有引力が働いているということが証拠立てられたのでした。ニュートンが非常な勉強家であったことはその当時の誰も驚いていたので、彼の親友であった天文学者のハリーがある時、
「それ程たくさんの大きな発見を君は自分でどうして仕遂げることができたと思うか」と尋ねましたら、ニュートンは、「僕はただ間断なくそれを考えただけだよ」と答えたということです。それから稀に見る謙遜家であったことは、彼の有名な次の言葉がそれを十分に示しています。
「私は世間が私をどう見るかを知りません。しかし私自身では、丁度限りない真理の大洋が横たわっている前で、浜辺に滑かな小石や美しい貝殻を拾って楽しげに遊んでいる一人の小児のようにしか思われないのです。」
それはなんと奥ゆかしい言葉ではありますまいか。
ニュートンの果した科学上の仕事はこの万有引力の発見のほかに光に関する研究などいろいろあるのですが、ここではそれらは省いておきます。それにしてもともかくニュートンはイタリヤのガリレイに次いで科学の正しい道をふみ進めた人として讃えられていることは、今では誰もが認めていることにちがいないのです。
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