Chapter 1 of 12

Chapter 1

『青年に訴う』は、クロポトキン自身も言っているごとく、クロのもっともお得意のものだ。そして二十余りの諸外国語に翻訳されて、クロの著作の中でももっとも広く読まれている。

僕はかつてそれを、もう十三、四年前のことだが、『日刊平民新聞』に訳載した。そしてその最後の一章のために、秩序紊乱という名の下に、二た月か三月牢に入れられた。

その留守中に、クロから故幸徳に手紙が来て、「自分の著書の中でももっともモデレェトな(温健な)あんなもののために、その自由を犠牲にした若い同志に」云々とあった。

その後三、四年して、僕の翻訳はアメリカにいる同志の団体の社会革命党から出版され、その幾百部かは日本にもはいって来た。

こんどはそれを全部書きかえたのだ。

週刊『労働運動』に連載した時には、ほとんど無事であったのだが、一まとめにするとなると無残にやられてしまった。

仕方がない。あきらめられぬとあきらめるんだ。

大杉栄

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