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雪
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高祖保
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Bản dịch Pagera AI
Nguyên bản Public Domain
Chapter 3 of 29

Sine qua non

そなたの睡眠は、夜つぴて白く窓を埋める

片脚あげた 噴き上げの鶴よ。

わたしは読み飽いた「聖ヨハネ祭の夜」の頁をたたみこんで、暗い一閑張の下に、さて閉ぢようとして気づいた。

その夜、なにせ、季節は冬から孟春に、とび超えようといふのだ。(くらい天の一方で、間遠に神々の跫音がゆききする――)

わたしの中のわたしが、しばし恍惚とじぶんを置きわすれて、往つてしまふ。まづ、それをとり戻さなければならん。

窺きガラスのなか、東方が白む頃あひといふに、欹てる耳のうへで逸はやく、

―― Chio, chio, chio, chio-chinks

chio, chio, chio, chio-chinks …

暁は迅い。窓はまだ睡りたりないのだ。

わたしもまた睡りたりん。

歌ごゑは、蝋燭ほどの月あかりの下びに。灌木のしげみのあちら側に。

どこか「夜啼鶯」とでもいひたいが、――湖どりと覚しいそのこゑは囁きつゞける。張りのある、わかい調子で。

(ひょいとヒマラヤ杉を、湖かぜが煽つてとほる。ひそひそ噺のかたちで。…)

嚔 ひとつ

ふいに、

わたしの前にゐた暁ちかい夜が、ぐつたり息絶える。

なんといふ いい夜!

わたしの中のわたしが呟く

―― Sine qua non と。

Chapter 3 of 29
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