Chapter 5 of 29
5.地下に没したおばけ
ばけもの婆が,幼児の魂を盗んで,背に負い,自分の村へ,帰って行った.
ヤイレスプは,それを取り戻そうとして模様のついた鳥,彫刻した鳥に身を変じて,飛んで行った.
それを見て,幼児がこう言った.
これ,ばけもの婆
小矢を作っておくれ
小弓を作っておくれ
模様ある鳥
彫刻した鳥を
射るのだから――
すると,ばけもの婆が,こう言った.
これ,こども,
おれの村へ
行き着いたら
小矢を作ってやろう
小弓を作ってやろう
そしたら
模様ある鳥
彫刻した鳥を
射て取るがいい
幼児は,頭を左右に振って泣き,手足をばたばたさせて泣いた.
泣くんじゃないよ
泣くんじゃないよ
ばけもの婆は,子守歌を歌ったけれども,幼児は,手足をばたばたさせて泣き,頭を左右に振って泣いた.頭を左右に振って泣き,手足をばたばたさせて泣いた.
ばけもの婆は,もてあまして,とうとう,針のように尖った細長い小刀(13)を取り出して,小矢を作り,小弓を作り,幼児に与えた.
幼児は,大喜びで,模様ある鳥,彫刻した鳥を,射ようとして,追っかけた.
ヤイレスプは,ばけもの婆の,背負っている幼児に,今にも射落されそうにしながら,追っかけさせた.
ばけもの婆は,あわてて,身をふりふり,追っかけているうちに,ばけものというものは,夜に強く,昼に弱いものだから(14),だんだん体が地中にめりこんで行き,腰まで地中に没した.
ヤイレスプは,見て見ぬふりをしながら,模様ある鳥,彫刻した鳥になって幼児に追わせているうちに,ばけもの婆は,頭のてっぺんまで,すっぽりと地中に没してしまった(15).
ヤイレスプは,大よろこびで,幼児の魂を捕えて連れて帰り,死者の体の中にそれを入れて蘇生させた.