Chapter 2 of 25
一 あの世の入口に関する酋長談
アイヌの散文物語の一種、酋長談とよばれるものの中によくアフンルパが出てくる。これは前に説明したように、あの世へ行く道の入口ということで、酋長談の中では海岸の洞窟か、山奥の河岸の洞窟とされている。そしてこの種の物語は、アフンルパを通って生きながらあの世へ行って来た人の帰来談として語られるのがふつうである。われわれはそれを読むことによって、アフンルパや、あの世のありさまや、人間の死などについてアイヌがどのような観念をもっていたかをつかむことができる。
最初に胆振国幌別郡幌別村に伝承されていたものを紹介しよう。これは同地生れの金成マツ婆さんが伝えていたものである。