青空文庫の提案
九七年八月に入って、青空文庫のコンセプトを示す〔青空文庫の提案〕が七月七日付けで公開された。文末には「呼びかけ人」として、“横浜会議”の四人の名前が並んだ。九月には青空文庫のアドレスも、それまで暫定的に使っていた野口のURLから、専用のURLへ移され、「青空文庫ホームページ」が正式に始まる。トップページには、青空文庫の提案から冒頭二行が掲げられた。
電子出版という新しい手立てを友として、私たちは〈青空の本〉を作ろうと思います。
青空の本を集めた、〈青空文庫〉を育てようと考えています。
青空文庫では、公式な“誕生日”を九七年七月七日としている。このメッセージを産声として、青空文庫が育っていったからだ。最初の五冊のエキスパンドブックも、登録日をこの七月七日とした。
開館にあたって、呼びかけ人たちは、いくつかのルールを設けた。著作権法によって定められた保護期間の終了した作家の作品と、たとえ保護期間内でも作家が「金銭的な見返りを求めない」と決めて公開する作品、この二つが〈青空の本〉であること。また、“蔵書”の形式はエキスパンドブック版だけではなく、インターネットにおいて一般的なHTML版、電子テキストの基本でもあるテキスト版の三つとするよう務めること。
時の流れとともに、このルールには変わってしまった部分がある。エキスパンドブック版は、一企業の成果物であるフォーマットが将来も有効である保証がないこと、読むのに便利なテキストビュワー(閲覧用ソフトウェア)が各種できたことなどを理由に、二〇〇二年五月、新規作成を中止した。併せて、ルビ付き・ルビなし両方で作成していたテキストをルビ付きだけとし、HTML版は新規登録作品よりXHTML版に変更することとした。これで、“エキスパンドブック図書館”という当初のイメージはなくなり、新たな電子図書館像を模索していくことになる。
また、開館当初は、著作権切れの〈青空の本〉と著作者自身が公開を望む著作権存続中の〈青空の本〉の収蔵作業は車の両輪のように考えられていたが、現在では後者の新しい収蔵は諸般の事情でストップしている。