Chapter 8 of 361
一月八日(日曜)
朝十時半起きで座へ出る、宿酔気味。気分悪く、芝居に身がちっとも入らない。「フォリース」豊島珠江がトチリ、歌を久米夏子が代った、久米中々行ける。橘から菓子一折届く。スコットのポタアジュとハムエグスのみ。全線座の樋口大祐より、西洋菓子が届いた。夜の部、大満員びっしりである。憂悶が去らず、芝居してゝ、とけ込めなくて困る。「新婚」でアチャラカをやり、お互に吹きっこでもしてゐるのが一ばんか。ハネ十時。あきれたぼういずを誘って銀座ルパン、牛込の鷹の羽へのし、飲む。飲む程に憂悶す。
正月興行は、街頭切符売りの書き入れだ、二円席が五円六円で売れてゐるさうだ。プレミアムも此うなると一寸愉快である。