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四日白魔 ロンドン危機シリーズ・1
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四日白魔 ロンドン危機シリーズ・1
ホワイトフレッド・M
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Chapter 4 of 7

四

チャット紙の特集で暴かれた不安が翌朝すぐに裏付けられた。波止場の石炭は五十キログラムあたり三シリング以下では入手できなくなった。石炭を使いきった者のなかにはその価格で買う者もいたが、大多数は引き返し、文句をぶつくさ言って、落胆した。

どこへ行こうが同じような話が帰ってきた。このような話があったのはキングス・クロス、ユーストン、セント・パンクラス、カレドニアン通り。状況が一変し、危険かつ臨界に達した。異形の不満群衆が西へ流れ、トラファルガー広場へ向かった。多くが羊皮を着ていた。ゴーフ次長の考えが広まったからだ。

不思議と噂が広まり、ジョン・ハンプデン議員が大衆集会に出席するよし。午後二時半過ぎ、トラファルガー広場とそこへ行く道は人々であふれた。

ちょっと遅れてハンプデン議員が現れた。応援や熱狂はなかった。余りにも寒すぎるためだ。暴動の気配もない。群衆が欲しいのは大衆の護民官たる議員が石炭の入手方法を示すことだ。これこそ唯一最大の案件であり、しかも安い価格で。

ハンプデン議員も充分冷静で、抑制していた。議員の雄弁につきものの、いつもの過激さはなかった。騒がず落ち着くよう訴えた。集まった群衆に約束したのは、日が暮れる前に石炭の入手方法を示す。そのためには聖スチーブンの外に群衆を整然と集め、現在の危機について大臣に直接ただす。質問紙を商務大臣に私書で送った。もし返事がなければ、次の行動を起こす。

少しどころかちっとも要領を得なかった。一時間後、大群衆が聖スチーブンのあたりに集結した。だが、憮然、静粛、整然としていた。

いつもの午後、議会席は超満員だ。明かりがジョン・ハンプデン議員の四角い渋面に当たると、つまらん議題をぺちゃくちゃわめいていたのがピタリ。やおら、ハンプデン議員が立ちあがった。

ハンプデン議員は質問を的確かつ要点をついた。それから目立たぬよう隠れているジョン・ヘイズ氏と同僚のライスミス氏に向きなおり、一〇分間厳しい非難を浴びせた。

商務省当局のあいまいな回答から得た情報では、政府の対策はないらしい。ロンドンに降りかかった大災難に、悪徳金融業者どもが持ち金をここぞと投じた。もしこれら新興企業が民衆の意見に屈しなければ……。

ヘイズ議員が口ごもって演説。

「これは商売の取引です。譲歩はしません。もし政府が低所得層に助成金を出したいのなら――」

怒号で後は聞こえない。議場のあらゆる所で勝手に議論が始まった。この場で冷静なのは議長とジョン・ハンプデン議員の二人のみ。第一卿が立ち上がり、騒ぎを鎮めた。

やおら第一卿が口を開いた。

「解決方法があります。我々が時限法を通せば、議会に権限を与え、燃料と食糧をすべて民衆に与えることができ、このような危機に対処できます。同様な方式がダイナマイト法で行われました。二日あれば法令集に載るでしょう」

ハンプデン議員が絶叫した。

「そうしている間にも貧困層は凍死します。院内総務が最善を尽くされれば、議案は法律になるでしょう。今晩以降、ロンドンの労働者は法律が発効するのを待って、備蓄を引き出せば、刑罰に処されないでしょう。しかし諸君は、いま外にいる群衆を処罰することはできません。私がいま世界に示そうとしているのは何千人という人々の不屈な行動です。わが尊敬する二人の反対議員殿、現状を見たいのなら、私と一緒に来てください。私が安全を受け合います」

ハンプデン議員が議会に大きく手を振った。退席して外へ出た。ヘイズ議員が立ちあがって話したが誰も聞いちゃいない。劇的な幕切れとなり、ハンプデン議員は二つの約束をした。数分もたたないうちに議会は空っぽになった。外には押し黙り、辛抱強く寒さに震える大勢の人々がいた。

第一卿が商務大臣にヒソヒソ耳打ちした。

「ハンプデン議員はすごいですな。どこまでやれるか疑問だが。あそこの大衆が自らの力を自覚したらと思うと。そのときはもっと暇になりますな」

Chapter 4 of 7
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