Chapter 1 of 1

Chapter 1

鉛のいろの冬海の

荒き渚のあけがたを

家長は白きもんぱして

こらをはげまし急ぎくる

ひとりのうなゐ黄の巾を

うちかづけるが足いたみ

やゝにおくるゝそのさまを

をとめは立ちて迎へゐる

南はるかに亙りつゝ

氷霧にけぶる丘丘は

こぞはひでりのうちつゞき

たえて稔りのなかりしを

日はなほ東海ばらや

黒棚雲の下にして

褐砂に凍てし船の列

いまだに夜をゆめむらし

鉛のいろの冬海の

なぎさに子らをはげまして

いそげる父の何やらん

面にはてなきうれひあり

あゝかのうれひけふにして

晴れなんものにありもせば

ことなきつねのまどゐして

こよひぞたのしからましを

●図書カード

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