Chapter 1 of 8

Chapter 1

世界じゅうで、眠りの精のオーレ・ルゲイエぐらい、お話をたくさん知っている人はありません!――オーレ・ルゲイエは、ほんとうに、いくらでもお話ができるのですからね。

夜になって、子供たちがまだお行儀よくテーブルにむかっていたり、低い椅子に腰かけたりしているころ、オーレ・ルゲイエがやってきます。オーレ・ルゲイエは、静かに静かに階段を上ってきます。なぜって、靴下しかはいていないのですからね。オーレ・ルゲイエは、そっとドアをあけて、子供たちの目の中に、シュッと、あまいミルクをつぎこみます。でも、ほんの、ほんのちょっぴりですよ。けれど、それだけでも、子供たちは、もう目をあけてはいられなくなるのです。ですから、子供たちには、オーレ・ルゲイエの姿が見えません。

オーレ・ルゲイエは、子供たちのうしろにしのびよって、首のところをそっと吹きます。すると、子供たちの頭が、だんだん重くなってきます。ほんとですよ。でも、べつに害をくわえたわけではありません。だって、オーレ・ルゲイエは、子供たちが大好きなんですから。ただ、子供たちに静かにしていてもらいたい、と思っているだけなのです。それには、子供たちを寝床へ連れていくのがいちばんいいのです。オーレ・ルゲイエは、これからお話を聞かせようと思っているので、子供たちに静かにしていてもらいたいのです。――

さて、子供たちが眠ってしまうと、オーレ・ルゲイエは寝床の上にすわります。見れば、たいへんりっぱな身なりをしています。上着は絹でできています。でも、それがどんな色かは、お話しすることができません。というのも、オーレ・ルゲイエがからだを動かすと、それにつれて、緑にも、赤にも、青にも、キラキラ光るのですから。両腕には、こうもりがさを一本ずつ、かかえています。一本のかさには、絵がかいてあります。それをよい子供たちの上にひろげると、その子供たちは、一晩じゅう、それはそれは楽しいお話を夢に見るのです。もう一本のかさには、なんにもかいてありません。これをお行儀のわるい子供たちの上にひろげると、その子たちは、ばかみたいに眠りこんでしまって、あくる朝目がさめても、なんにも夢を見ていないのです。

ではこれから、オーレ・ルゲイエがヤルマールという小さな男の子のところへ、一週間じゅう毎晩、出かけていって、どんなお話をして聞かせたか、わたしたちもそれを聞くことにしましょう。お話はみんなで七つあります。一週間は、七日ですからね。

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