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西航日録
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西航日録
井上円了
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译文 Pagera AI
原文 Public Domain
Chapter 5 of 49

四、シャンハイ所感

シナの市街中、最も余輩の目に触れたるものは、卜筮、人相、方位の看板を掲ぐる店のすこぶる多き一事なり。シナ人は上下を論ぜず、吉凶禍福みなこれを卜筮に問うを常とし、病人あるも医師によらずして卜者にたずね、不幸にして不帰の客となれば、これ天命なりとしてあきらむるなり。けだし、その国に医術の発達せざるはこれがためなり。宗教の振るわざるもこれに起因す。よって余は、シナは大濁国、大緩慢国なると同時に大迷信国なりといわんとす。余、シャンハイにありて四面を一望するに、山影の眼光に触るるなく、平原百里に連なり、河水縦横に通じ、いわゆる沃野千里なるもの、清国の富源また実にこの間にあり。しかして楊子江その脊髄となり、シャンハイその脳髄に当たるもののごとし。それ楊子江は世界無二の大河にして、舟楫の通ずる所、本流にありて三千里余、本支を合すれば四千里なりという。これをわが国の大河たる利根川、信濃川等の、本支合して二百里内外なるに比すれば、その差、同日の論にあらず。もってシナ国の一斑を知るに足る。かかる天然の地利と富源とを有するにもかかわらず、その国の形勢累卵もただならざるは、その罪天にあらずして人にあり。しかして、シナ国民が泰西の文物を収容して面目を一新するは、いずれの日にありや知るべからず。大廈のまさに覆らんとするや、もとより一柱一木のよく支うるところにあらざるなり。老大国の前途、絶望の観なきあたわず。ああ中原の鹿、またなにびとの手にか帰せん。東洋の多事、今よりますますはなはだしからん。ただ、わが同胞は鞠躬尽瘁よく、唇ほろびて歯寒きの間に立ち、風雲を一掃して、東洋の天地に青天白日をめぐらすことを期せざるべからず。願わくは、教育に従事するもの終始一貫、この心をもって心とし、学生たるもの造次顛沛の間も、この心を失わざらんことを。左にシャンハイ所感の一首を録す。

城頭一望感無窮、英艦露兵西又東、大陸風雲日将急、黄竜何歳見晴空。

(上海の市街を一望して往時を思い感慨きわまりなく、英国の軍艦や露国の兵が西より来たり、東より来たる。中国大陸の風雲は日々に急を告げようとし、楊子江はいつになったら晴れやかな空を見せるのであろうか。)

Chapter 5 of 49
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