Chapter 10 of 56夢 シュリ・プリュドン夢のうちに、農人曰く、なが糧をみづから作れ、 けふよりは、なを養はじ、土を墾り種を蒔けよと。 機織はわれに語りぬ、なが衣をみづから織れと。 石造われに語りぬ、いざ鏝をみづから執れと。 かくて孤り人間の群やらはれて解くに由なき この咒詛、身にひき纏ふ苦しさに、みそら仰ぎて、 いと深き憐愍垂れさせ給へよと、祷りをろがむ 眼前、ゆくての途のたゞなかを獅子はふたぎぬ。 ほのぼのとあけゆく光、疑ひて眼ひらけば、 雄々しかる田つくり男、梯立に口笛鳴らし、 具の木もとゞろ、小山田に種ぞ蒔きたる。 世の幸を今はた識りぬ、人の住むこの現世に、 誰かまた思ひあがりて、同胞を凌ぎえせむや。 其日より吾はなべての世の人を愛しそめけり。