Chapter 1 of 30

序文

最近ヨーロッパの南西部に逗留したことが、この「ギリシャおよびローマ医学の概観」を書くことの刺激になった。本の名前はこの本の限界をあるていど示している。私の希望は現在の文明が最も深く恩恵を受けている2つの国における医療の進歩の最も重要な段階の単なる全般的な概観を与えることにあるからである。ヨーロッパ大陸の著者たちによって多数の医学史の大著が書かれていてバス、シュプレンゲル、プッシュマンのようなドイツの著者たちの著書はその例であるが、その主題はかなり無視されてきている。

私はこの小さな著書が、医師たち、医学生たち、知識の進歩の話に興味を持ち身体の健康の研究が人類の努力において最も重要なことであることを知っている大衆にとって興味ふかいであろうと、心にいだいている。

医学者たちは自身の歴史を無視していることで非難を受けるのは当然であり、多くの臨床家たちが彼らの技術について何も知らないのは残念なことである。このために、報告された発見の多くは再発見に過ぎない。ベーコンは言った「私が言ってきたように医学は努力した以上に断言され、さらに進歩した以上に努力されてきている。私が判断するところで努力は進歩と言うよりは円運動である。繰り返しが多くて進歩が少ないからである。」しかし、最近になり医学史はその王国に来ている。大学でこれについての講義のコースが設けられ、最近になり王立医学協会は歴史部門を設けた。

この本に使っている資料は多くの原典から集めたものであり出来るだけ文献引用を行なってきた。しかしモンテーニュが書いているように「ここで私は摘んだ花の小さな花束だけを作り、花を括る紐以外に私のものは加えなかった。」

私は友人のロイヤルヴィクトリア勲章士、文学博士、薬学学士、ヴィンセンチオ会員、アバディーンロイヤル診療所の老外科医であるJ・スコット・リデルに深甚な感謝を捧げなければならない。彼は校正を読み索引を作りこの本の発行にあたって配慮し、国外で書いている著者が出会う困難を除いでくれた。私はまた出版社の親切および細心な注意に感謝する。

ジェイムズ・サンヅ・エリオット

ウェリントン

ニュージーランド

1914年1月5日

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