Chapter 7 of 7
婦人に対する実業思想の必要
この時に当って日本婦人は、いやしくも自分の品性を軽んじてはならない。何所までも自分は日本婦人であるという自重心を持っていてもらいたい。この精神があって初めて今日の時勢に伴う十分なる実業的思想を発達させて知識を増進し、然して我が邦婦人の特色を発揮させて行く事が出来る。
例えてみれば小さい小売商店でも、良人は外に出て仕入れや外交の働きをすると、妻君は家にいて、帳簿の調べや金銭出納の整理くらいは家政の傍らにいくらでも出来る。来客への応対は男子よりもよほど上手にやるという風になって初めて商売も繁昌して、従って実業も発達するという事になる。また良人が一朝病に仆れるか、あるいは事業に失敗して生活費を得る事が出来ない様な場合が無いとも限らない。その時に当って妻に実業的知識があれば、婦人が代って家族を養って行く事が出来る。また一たび戦争でも起って多くの男子は戦場に臨む様な事も起らぬとも限らぬ。かかる不時の困難に遭遇しても健全なる婦人の実業的知識が発達している時には、如何なるものの援助もこれに勝るものは無いのである。
●図書カード