Chapter 3 of 28
スパイは幾万ありとても
『スパイは幾万ありとても
などて怖れることあらん!』
ブルジョアの歌も
かうして俺たちの側へ模様替へをして見ると
満更捨てたもんぢやねい。
奴等も何やかやと材料を豊富にもつてゐる、
だが鍋は完全に奴等から奪つた
コックが腕利きなら材料は生きるんだ。
仲間よ、元気を出せよ、
忘れるな、鍋がこつちにあることを
煮て喰はうと焼いて喰はうと
こつちの勝手ぢやないか
ただ煮ても焼いても喰へないものに
裏切者とスパイがあるだけだ。
虱をつぶす快感は
何も虱を殺すための楽しみぢやないんだ。
きのふ虱がプロレタリアの血を吸つた
今日その虱しみを
ピシリとつぶす快感さ、
『スパイは幾万ありとても
などて怖れることあらん!』
俺たちは煮ても焼いても喰へない敵を
虱つぶしにする許りさ。