Chapter 3 of 3
三
お君不機嫌に独言を云う。
「あの人なんだか可哀そうだから、今夜呼んで太田の話を、ぶちまけて話してやった上、すぐに暮らしに困るようなら助けてやろうと思ったんだが、女から送った十円ばかりの金を、送り返してよこすような、そんな正義派の男なら、妾、見返ってもやりゃあしない」
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こうして三ヶ月経過する。
A新聞社の編集局。
社会部長顔をしかめ、太田に向って小言を云う。
「近来書く物がひどく不味い。本来名文家じゃあ無いんだがそれでも三ヶ月前までは、活気のある文章が書けたのに。君一体どうしたんだい?」
太田心中で嘆息する。「競争相手を追っ払うのも、考えて見れば可し悪しだ。……一條の奴が居た頃には、負けまいと思って書いたので、活気のある文章が書けたらしい」
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「爾今出社に及ばず候」
太田の受け取った辞令である。
「穴を二つ掘ったってものさ」
●図書カード